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あおいとりプロジェクト

パラケルススとalembicの謎

2017年07月11日|astrology, memo, やまねこクロニクル

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次回は7月17日11時~21時です。祝日ですので普段平日無理という方どうぞ!お待ちしております。

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1年くらい前にのオックスフォードでの占星術の夏期講習で錬金術の授業を2日取ったのですが、そこではパラケルススの考え方が引用されていました。英語力が足りなくて、いやパラケルススの知識が足りなくて(恥)、ちょっとわからなかったことをいまさらながらにキャッチアップ。

その一つが(まだわかっていないことたくさんある)、占星術のMODEの話。日本では3区分と言っていますね。

授業の中で、パラケルススの「三原質説」を引用していて、世界は水銀と硫黄と塩でできているというのに、惑星を乗せて「水星(水銀)=液体性、太陽(硫黄)燃焼性、月(塩)=個体性」と先生はご自身の説を説明していました。

わたしはこの時パラケルススは名前と昔の高名な医者ということしか知らず、三原質説を知りませんで、そんな風に対応するのかと思いながら、「あれ金属対応なら水星は水銀だけど、太陽がなぜ金ではなく硫黄なのか、月が銀ではなくて塩なのか?」とか「塩が月というのはなんとなくわかるけど、太陽が硫黄っていうのは火山のことか?」とか悩んでいました。それをずっと気にしていて、最近かわさきさんに錬金術だよと言われ、地道に調べていたのですが、今日初めてパラケルススにたどり着きました。そして対応しているのが精神、霊魂、肉体なのね、ふむふむ。これはよく言われていてそこと一緒に覚えればなんとなく。でも占星術の大事な四大元素(スコラ派)を否定しまくっていますね、あれま。

オックスフォードの講義を聞いていて思うのはalembicとは、広義らしくて、この授業の中ではスライドでは、ずっとガラス製の丸底フラスコを図として表示していて、チャートの丸さに例えていました。(昔は、ガリレオガリレイやノストラダムスはチャートインド占星術のような四角いチャートを使っていました。いつから丸い表示?というのがめっちゃ気になりだしました、今度調べようリストに加えます)

なのでずっとalembic=フラスコだと思っていたのですが、フラスコを使った蒸留器がalembicなのですね。alembicは丸い閉じられた世界であり、チャートの中で起きる化学反応みたいなものを言っていました。円は完結されていてそこから新たに出入りすることはないが、温度などで環境が変わり、中身に変化が訪れるとか、経年劣化みたいなものとかをトランジットに例えていましたね。

※偉大な医者のパラケルスス、「・・・後世ではフィリップス・アウレオールス・テオフラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイムという長大な名が本名として広まったとwikiに書いてありますね、ふふふ)

パラケルススは「毒性学の父」と呼ばれていて、その格言も秀逸。
「全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。その服用量こそが毒であるか、そうでないかを決めるのだ」
(Wikipediaより引用)

ちなみに、鋼の錬金術師の元ネタフラスコの中の小人ホムンクルスはファウストの中に出てきます。

18世紀のドイツの文豪ゲーテの著作「ファウスト」にワーグナーという学者が登場します。  ワーグナーは登場時は平凡な男なのですが、努力を重ねてついに人造の小人「ホムンクルス」の作成に成功。 生まれたホムンクルスは小さく、フラスコの中でしか生きられない弱々しい存在。しかしあらゆる知識を持ち、主人公ファウストと対等に話ができるほど賢くもあります。 ホムンクルスは最後、完璧な肉体を求めてフラスコから出ていくのですが、これは小説のお話。(「歴ログ -世界史専門ブログ-」から引用)

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そいえば、そのルネッサンス期のフラスコが見たいッ!と思って授業を受けた人たちは学校の後ろにある科学博物館で探したのですけど、あったのが17世紀くらいのもので、がっかりしていました。で、気になってフラスコの歴史を調べてみました。

丸底フラスコはいつ頃発明されたとか、発明者はだれかという記録がないです。丸底フラスコひずみが少ないために温度や圧力の変化に強い。アルコールランプを使用するときや、液体を蒸留するときなどに多く用いられる。 この丸底フラスコ、これが誕生したのは、ガラスの技術が相当上がった後で結構近代だと予測します(ネットで調べ切らなかった)。実験用のビーカーがガラス製になったのは16世紀のルネッサンス期という記述は見かけました。フラスコはちなみにラテン語で瓶という意味。瓶は皆フラスコです。私たちが現在実験道具として思いつくのは他にコップ的な位置にあるものでビーカーですかね。(注ぎ口=くちばし=beak beaker)コップを使って、実験をしていたようです。よく考えたら、ガラスは火に弱いですよねー。今は耐熱ガラスありますけど。

錬金術では同じみの、蒸留器(alembic)、ガラス製ではなく銅製でした。今でも蒸留器を銅製の使っている人多いのではないでしょうか。例えば、ウィスキーの蒸留はでっかいポットスチルをつかっていますよね。ニッカウヰスキーの朝のドラマやっていましたけど、あれも銅製でした。

今ではありふれている『ガラス』自体が作られるようになったのは紀元前2250年ごろでメソポタミア文明で、めちゃくちゃ貴重品でした。確かに本の法隆寺宝物庫に瑠璃色のペルシャガラスの器がありますが天皇への献上品だったと思います。ペルシャはメソポタミアのあたりの国ですよね(紀元前3世紀くらいにアレキサンダーに滅ぼされていますけど)。法隆寺というと、飛鳥時代ですから7世紀の時点でもものすごい高級品。

入れ物としての歴史は、鐘形のコップのような入れ物が土器の時代からあります。今の私たちの使っている湯飲みような形のものが紀元前4600年前くらいからあります。そして時代が進んでも使われていますが主に酒を飲むものとして使われています。お酒は貴重な水分だったのです。今のようにお水が安全ではありませんでしたから、アルコール分が入っている液体である酒は病気になりにくい飲み物だったのですよね。

何かの資料で読んだのですが、ヨーロッパの貴族が妻のためにガラスでコップを作らせるのですが、 昔の色なしガラスのコップを作らせた経緯が「それがアルコールを飲めない妻が水を飲むときに、濁っていないか確かめられるようにするため」と書いてあったのが印象的でした。土器のコップ、もしくは透明ではないコップで飲むのは酒ってことなのかもしれませんね。そして、ガラス器になったのは液体の色を見たいから、何かもしれません。

上記にも書きましたが、フラスコ自身の語源ははラテン語のフラスカ(flasca)が語源で「瓶」を示します。丸底フラスコではなくて、三角フラスコといわれる三角錐型に試験管が付いたみたいな形を発明した人ははっきりしていました。エミール・エルレンマイヤー(1825年6月28日-1909年1月22日)で、ドイツの化学者、薬学者。これは例外で19世紀のガラス器具業者が新しい器具の開発販促として、発明したもの。だからしっかり記録があるのです。特徴としては液体を保存しておけるもの。このころ瓶ビールがイギリスで開発されていました。コルクで蓋をすることがポピュラーになってからは、ワインや酒類も瓶詰で流通するように。意外と近代なのですね。

ガラスの大量生産といえば、ルネ・ラリックを思い出しますね。19世紀から20世紀の人です。オートクチュールを捨て、大量生産に転向した人。多くの人の日常に芸術を届けたいと願った人です。

( もっとフラスコやビーカーについて知りたい人はこちらをどうぞ⇒「ビーカーくんとそのなかまたち:この形にはワケがある! ゆかいな実験器具図鑑」を参照しました)


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みかみ まき

西洋占星術師&アクセサリーデザイナー、水晶占い師占星術・タロットをまついなつき氏に師事、占星術と水晶透視を松村潔氏に師事しております。詳しいプロフィール

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